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わらうられつ
あしのり
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寮な夢


うたた寝をしていた
目が覚めたら学習室のデスクで
慌てた

もうすぐ朝礼がはじまるのに
すぐ支度をしなくては間に合わない

だけど自分のロッカーが解らない

部屋には節子がいて
わたしは動揺のままに
記憶を失っているらしいこと
朝礼に間に合う支度をしたいこと
自分のロッカーが解らないこと を 訴えた


節子が教えてくれたロッカーを開くと
ぎっしり並んでるはずの服や雑貨がなくて
残されたようなわずかな小物と
夏服のセーラー服だけが揺れてた

階下で朝礼の気配がしている

間に合わなかった
慌てた
さらに動揺したわたしは学習室に戻っていた


そして思い出した
何年も昔にこの場所を卒業していたことを

わたしの荷物などあるわけがないのだ
どうしてわたしは
記憶を亡くしているのだろう
なぜここに戻って来てるのだろう
と思った

クレイジーな絶望で目が覚めて
傍らに眠るネコズの存在を意識して
夢だったことを知った


切り裂くように悲しくて
仰向けのまま 暗闇に嗚咽をあげた

そしてすぐに睡魔に落ちた



すぐに眠くなる
すぐに目が覚める
すぐに眠くなる

眠りに入る瞬間を何度も味わった

眠れないよりはしあわせ
そういう夜だった







節子に会いたいと思った





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夕刻 オフィスの窓に
いきなりたたきつけたような雨
落雷 稲妻

落ち着いたら帰ろうと思ったけど
落ち着いたはずの雨あしも容赦なかった







水しぶきの交差点




おかげで



歩道橋という川を渡った





手加減なく世界が濡らされている
わたしもそこでは
雨ざらしの一部になっていた

すべてのライトが路面に延びていた
きれいだ

こころが踊った
雨がすきだ

















背広が部屋にきて
次日の午後に帰った





わたしがくろいろを紡ぐヒマがないこと
いまひたすらしろが在ること








 
 
23時から5時まで
ドリンク3杯でお話しきいて
試練のようにぐったりした

お店を出たら
渋谷は雨の朝

手を振ってひとりになって
空を見たら
描いたみたいな嘘グレーで
おもしろいと思った

疲れてるはずだったのに
いきなりテンションがあがって
ひとりたのしくなって
歩いた








東京グレーは透明にしろをまぜた
不機嫌な灰空色








濡れた路面

ムラのないペンキの黄色
信号の点滅する青
びゅんびゅん通り過ぎるトラックのうなり
あてがなくてさまようタクシー
洗われる標識の赤白青
夜中をひきずって帰宅する人の自転車
スカートの裾のはばたき
潤される濡れ葉の緑
眠ってるマンションの窓
ガソリンスタンドの光るオレンジ
無表情なコンビニの呼吸






東京グレーの雨は
この街に在るものの彩度を高くしてると思った





携帯に描きたくて画面を開いたら充電切れ
デジカメで写してたら電池切れ

せめてこの雨の迷彩を覚えてたくて
呼吸しながら歩いた

 












にこにこしてあるいた
















さっき ぱぁっとひらける感じ、それが欲しい と言われたけど
この美しい東京グレーを 毎歩体感しているわたしは
その瞬間にいるのだろうと思った




水曜日の夜の続き 木曜日の朝
何か終わった気持ちになったけど
はじまりに立ってる気もしない


 

 



 
 
渋谷で待ち合わせて
次の約束すっぽかして雨を歩いて
そうなんです
わたしのよわさをゆるして




桜は準備中だった 銀杏も準備中だった
美しさの盛りはまだまだ先だから
ピンクもきいろもみどりいろ


公園駅の改札で手を振って



階段登ったとこのカフェででケーキ



ずいぶんぼんやりしてしまって

部屋まで歩いたけど
がくがく だるだる

眠いし 前へ進めなかった
これは何事だろうと思うほどに歩けなくて
ぜんぜん部屋へ辿りつけない





さいごまであまくて満ちる
そういうお砂糖がほしい





 



 




























南の果てのお話し

南向きの窓
南の風
南国

南とつくとなんだかしあわせな響き



[南の果てにはしあわせがあるんだ]と彼が言うので、わたしは彼としあわせを探して南を目指しました。

最初にたどり着いたのは晴れた公園、古びたベンチに三毛猫。ぽかぽかしてます。

[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と彼が言うのでさらに南を目指しました。

道がぱっと開けて、小さな校庭にいろとりどりの歌声。きらきらしてます。

だけど彼は首を振ります。[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]。さらに南を目指しました。

ぐるぐる路地がいりくんで、おいしいごはんの香り。わたしはちょっとお腹が空きました。一軒のお家で温かいシチューをいただきました。わたしたちはとってもまんぷく。ちょっとしあわせ。彼はいつのまにかふくふく寝てしまいました。

次の朝、お腹がすいて目が覚めました。まんぷくは一晩でおしまい。
[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と彼が言います。わたしたちはさらに南を目指しました。

少し風が強くなって、白い砂と透き通るブルー、海でした。満ち潮がひたひた足元を潤します。

[ぼく魚を見たい。大きな魚がしあわせかも]と彼が言うので船を出していよいよ南を目指しました。

ちゃぷちゃぷ進むと海面にトビウオ、踊る虹のようなプリズムを描いています。それは音楽のよう。

だけどトビウオは小さいので[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と彼が言います。さらに南を目指しました。


海の真ん中に噴水、昼寝をするしろいくじら。くじらは黙ってぷかぷか。
くじらはおっきくて、噴水なんか持っててすてき。

ぐんぐん近づいてみました。くじらはすべすべして浮かんでいます。おっきくて魚の形をしていて噴水を持っていて、そのうえしろくて、くじらは完璧なしあわせでした。
[ぼくのしあわせ、これに決めた]と彼が言いました。

すべすべつるつるのしろいくじら、彼のしあわせ。
彼はくじらに触れました。


その瞬間

しろいくじらはびっくりして目を覚ましました。
しろいくじらは東京ドームくらいおっきいのです。飛び上がっただけで嵐がおきてしまいました。

わたしたちはあっというまに渦に飲まれてしまいました。しんでしまうのでしょうか。わたしはこわくなって彼の手を必死で握りました。彼は[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と言いました。ごもっともです。ぶくぶくぶく。



気がつくとシロクマとペンギン、スケートしてます。南極に来てしまったようです。

南に来てるはずなのにとても寒いのです。彼はくしゃみをしました。[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と彼が言ました。わたしたちは寒さに震えながら船で南を目指しました。

ずいぶん南に進みました。水平線しかない穏やかな波が続いています。どのくらい同じ景色を見ているのでしょうか。船はゆらゆらちゃぷちゃぷ進みます。わたしたちは疲れています。

[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と彼は言いました。わたしたちは仕方なく南を目指しています。




船がゴツンと言いました。
気がつくと港についていて、誰もいない感じ。カモメが空にハートを描いています。わたしは久しぶりの陸地にホッとしました。

[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と彼は言います。わたしたちは道を探して南を目指しました。

海辺が終わって


を抜けたら


になって

ぐんぐん進みます。
わたしたちはなんだか見たことのある公園にたどり着きました。古びたベンチに目を細めた三毛猫。


いつもと同じ今日に帰って来てしまったのでしょうか。それとも南の果てに、たどり着いたのでしょうか。


[ぼくが欲しいしあわせはこんなんじゃないよ]と彼が言いました。

はじまりと同じ場所で同じこと言った彼は、焼けていてすこしたくましくなっていました。

それで
わたしは言いました。

[じゃ南の果てへ行こう]

何周でも。







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