カエルのこえ

今年の散財アイテム


TSUMORI CHISATO

泣きわらうガイコツ

こわい
こわい
こわい


こわい

こわい感じがずっと後ろをついてくる
ふりむいても何もいないけど　こわい

こわい
こわい
こわい

ぬるい夜　通る風　自転車　ブラウス　音楽
気持ちのよい要素が揃っているのに　こわい
わけの解らない恐怖に蓋をして夜道をぬけた


こわい
こわい
こわい




帰路　住宅街の真ん中に残っている広い田んぼの水面に街灯のしろが落ちていた
ちょうど　ipodの曲間の静かになった瞬間　入れ替わりでカエルの声が聴こえた
すぐに耳元の曲を止めた　自転車の速度を落とす　水面がてりてりと輝いていた
カエルの合唱はどこか尖っていて　とてもやわらかで　きれいだと思った
こんど　またここにこようと思った　今夜はこの場所だけ優しかった


こわい
こわい
こわい

そのあとはまた[こわい]につきまとわれた
最終的に出かけなきゃよかったと思った


こわい
こわい
こわい

おやすみなさい

先日　仕事用の資料に雑誌[high fashion]を買った

どの雑誌でも同じに07秋冬コレクションを紹介し、アイテムを載せて現在を伝えている訳で
この程度のものなら　SPURでもELLEでもVOGUEでも装苑でも　なんでもよい訳なのだけど
いま店頭に並んでいる雑誌の中でこの雑誌が　新しく感じた
そしてとても清潔で媚がない　丁寧なつくりだと思った

仕事用の視点で雑誌を見る時って　オノレの楽しみとして眺めるときと
ぜんぜん違うところを読んでいると最近思う
文字のバランスやフォントの使い方、アイテムの見せ方とコマの間合いの取り方
写真の美しさ　その絵の抜き方や加減　線の太さ　微妙な1mmが感じられる仕事

私は見ているものや聴いているものに影響されやすいので
そういうものをカンニングアイテムにするように心がけております
・・・それに及ばぬような　ぜんぜん満たないもの作ってるけど

ちょっと善い記事があった


high fashion7月号

記事としてぜんぜん興味ないことなのに
轟くように文字たちにひきこまれて
またたくまに読み終わってしまった
うるうるしてた

敬愛と表現するに等しく　美しい瞬間をきもちのよいほど素晴らしく書きぬいていた
読み終えたあと　よかったあ　と思って　あたたかくなって　うるうるしていた
そしてこの中に登場するすべての人々と　この書き手を愛しいと思った

ものごとを紹介するということ　表現するということ　想うこと
見たもの　感じたもの　を　人に伝える　ということに於いて
たとえ、商業ベースであっても　そうじゃなくても。
伝えるというものごとについて深く考えさせられた

露骨に自分の名前が載る訳でもない　そういう場所であっても
この人が妥協なくこれを書いたということ
[仕事]を愛しているということ　[仕事]を介してものごとを愛したということ
そういうことをひどく感じた　ふるえた　感動した
この人は　いい仕事してると思った　ありがとうと思った



high fashionは善い雑誌だなあと思った